ミクロコスモス
「からかっているの?」





少女が指差したところには、綺麗なネックレスがあるだけ。


美しい瑠璃色の宝石を埋め込んだシルバーのネックレス。

まあるいネックレスは日の光にキラリと輝く。



確かにこの世の物とは思えないほど美しいけれど、それはネックレスであってあの人ではない。




からかっているんだ。

あまりに一生懸命だったから、少しからかおうと思ったんだ、この少女は。



本気で喜び、不安がったのに、本気だったのに・・・少女はからかおうとしか思っていなかったのだ。


ギリ、と歯を食いしばる。




こんな少女にまんまと騙された羞恥と、悔しさと・・・少しの悲しさが襲う。



少女はただこちらをじっと見つめて、静かに首を振った。





「違うよ。」



それは淡々とした、けれど絶対的な口調だった。




「あたしは騙したりしないし、してない。

そんな意味のないことしない。

あなたの探していたのは、それだよ。」


淡々と、どこか呆れのようなものを混ぜた声が、耳に響く。





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