ミクロコスモス
意味が解らない。


思わず眉をひそめたとき、少女がふわりと微笑んだ。

儚げな、綺麗な微笑。




「それが、あなたの逢いたかった人だよ。」


「は・・・?」



間抜けな声が出た。

からかっているとは思えない口調だった。


確かに口に笑みは浮かんでいるけれど、その笑みは儚げで、柔らかいもので。


からかっているようにも、嘘をついているようにも見えない。





「どういう、こと・・・?」


「そのまんまだよ。あなたの逢いたかった人は、そこにいるの。」


「そこ、って・・・この、ネックレス?」


少女の足元に落ちているネックレスを指差せば、少女はこっくり頷いた。



「そう。正しくは、そのネックレスにはまってる宝石の中なんだけど・・・。」


「宝石の中?」


なんだそのありえない思考。

いや、まぁ、汽車からしてありえなかったんだけど。



にしたって一体どういうことなんだろう。




少女はこちらをじっと観察して、ふっと笑った。





< 41 / 53 >

この作品をシェア

pagetop