繭につつまれて

私の身体をうっすらと繭のような物が包み込み暗い部屋の中で動けもせず考えだけが、ぐるぐる頭の中を回る。


古いベッドの中で冬眠中の幼虫のように縮こまっている。



私は、すでに中年の域に入り何かに対してもがき苦しんでいる。


部屋の小さな電気に浮かび上がる沢山の本やCD。


中年になってもまだ私は繭の中から出れず、もがく。



ゆっくり起きて煙草を吸いながら煙の行く末を眺める。



憂鬱な気分とだるさが私を包むが、ここまで生きて来たのだ。



この先も同じように生きていける保証はないが出来たら生きて行きたいのかも知れない。



煙草を灰皿に押し付けるとのろのろとシャワーを浴びに私は立ち上がる。



シャワーを浴びでも繭のような物は取れないだろう。


頭の中をぐるぐる何かが回る。


繭の中でゆったりしたいが、今では繭の中も私にとって安全ではないのだ。


シャワーを浴びよう。


シャワーを浴びたら少しは気分が、変わるだろうか?


微かに期待する。


微かにだ。


微かな希望にすがるのは、悪い事では、ないだろう?






< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:12

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

憎い夏
高山/著

総文字数/629

その他1ページ

表紙を見る
父の死とドーナッツ
高山/著

総文字数/2,955

その他5ページ

表紙を見る
ブログについて
高山/著

総文字数/7,711

実用・エッセイ(その他)21ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop