嫌よ嫌よは恋の始まり
噂とは全然違うじゃん…。
「…………あのさ、一ついい?」
「あ″?」
睨まないでよ。
不良に睨まれた経験なんて、今までに一度もない私は、睨んでくる彼から目をそらて、口を開く。
「誰とも付き合わないんじゃないの?」
「は?誰が」
「久瀬悠希は、彼女なんか作らない。みんなそう言ってるよ…なのに、何で私がコクったらいいよなんて言った訳?」
「……………………」
久瀬悠希は、誰とも付き合わない。
彼女なんか作らない。
女はみんな道具。
重たい関係なんか築かない。
来るもの拒まず、去るもの追わず。
それが久瀬悠希じゃないの?
そうに言えば、彼は嗚呼、と頷いた。