年下オトコたちの誘惑【完】

「悠太さんだって、杏のこと妹だつってたし」
「それは、あーちゃん。チャウやろ。妹って‼︎」

バカにしたような笑いをして言った変な関西弁は、もちろん楓で。

「本人たちが家族みたいって言ってんだ。俺たちが、あーだこーだ言う必要ないだろうが」
「碧都。なんかあったでしょ」
「は？」

鋭い眼光で碧都に突っ込んだのは、尚樹。それに対して碧都は、顔をしかめ睨んだ。

「なんもねぇよ。ただ悠太さんと話してみて、案外イイヤツだったってだけの話だ」

碧都は、そう言ってたけど実際三人は納得できないような顔をしていた。

「杏、ちょいこっち来い」
「え？あ、うん」

そんな碧都は三人を無視するかのように、大股でスタスタ歩くとカウンターの中に入って行った。

「ほら、エプロン」
「わたしの…？」
「お前以外、誰がいんだよ」

『ごめん…』と小さく謝り、エプロンを受け取る。

すでに他の三人はエプロンをしていて、全員お揃いのようだった。

真っ黒なエプロンに、可愛らしいワンコのイラスト。

昨日は気付かなかった。それだけ、周りを見ていなかったってことだよね…。

それにしても、このワンコ可愛いな。眞一郎みたい。

そう思い、眞一郎を見るとパァッ‼︎と笑顔になった。

「杏ちゃん‼︎可愛いでしょ？このワンコね、ボクがデザインしたの‼︎」
「えっ、眞一郎が？すごいねぇ‼︎」

素直にそう言うと、突然鈍い音とともに『痛いっ‼︎』と、頭を抱え込む眞一郎の姿。