年下オトコたちの誘惑【完】
「あぁ。今度、杏のハンバーグ食いたい」
「こ、こんなんでいいなら、いつでも…」

31にもなって、こんな言葉で嬉しくなるなんて思わなかった。

「約束な?」
「…うん」

顔を覗かれ少しだけ微笑む碧都に、キュンと胸が高鳴る。

「眞一郎、出来たぞ。持ってけ」
「オッケィ‼︎」

ヒョコっと、顔を上げた眞一郎がパタパタと走ってくる。

「わっ、おいしそ‼︎これ、杏ちゃんが作ったの?」
「一応…」

眞一郎がキラキラした目で、見てる。そんなにガッツリ見られると、恥ずかしい…。

「すごーい‼︎ね、今度ボクにも、」
「食わせねぇよ。杏のハンバーグは俺が食うから」
「えぇーっ⁉︎なにそれー‼︎杏ちゃん、ボクにも作ってくれるよねっ⁉︎」

はぁ、なんかまた始まったよ…。わたしが最初どの仕事するかって時も、なんかあーだこーだ言って…。

「眞一郎」
「うんっ‼︎」
「とりあえず冷めちゃうから、持ってってコレ」

眞一郎はきっと違う言葉を想像していたんだろう。

口をポカンと開けて、目もパチクリ。だって、お客さん待ってるから仕方ないでしょ⁉︎

わたしが、クッと怒ったように見せると、両手に皿を持ってトボトボと歩いて行った。

なんか悪いことしちゃったかな…。でも、料理は温かいうちに食べた方が美味しいし。
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