年下オトコたちの誘惑【完】
「明日から、ここオープンすっから、お前採用してやるよ」

いやいや、ちょい待て。待ってくれ。このライオンさんは何を言ってるんだい?あれー?わたしやっぱり、脳内やられちゃったのかなぁ?

「口、閉じれば?」
「え?」
「すげぇ、ブサイク」

………。

ちょっと、刺してもいいかな。プスッと、フォークか何かで刺したいんですけど…。ダメかな。

「お姉さぁん‼︎」
「ゲッ、出た‼︎エロワンコ‼︎」

もう、なんなのよ。次から次へと…。あぁ、頭痛がしてきた…。

そうだ‼︎仮病を使おう‼︎

『そうだ‼︎京都へ行こう‼︎』みたいだけど…。だって、だって、だってさ‼︎もう、こんなとこにいたくないものっ‼︎

わたしは『あぅ…』と声を出して、その場にしゃがみ込んだ。

きっとエロワンコが心配してくれるはず…‼︎

「えっ⁉︎お姉さん⁉︎どうしたのっ⁉︎大丈夫?具合悪いの…?」

ふふん、引っかかったな。やっぱりエロワンコだけど可愛いところあるわ。

「えぇ、そうなの…。ちょっと頭痛がね…。あのね、だからわたし帰ろ…」
「どうせ、仮病かなんかでしょ」

はっ?誰よ‼︎今までうまくいってたのに‼︎ぶち壊したのは、どこのどいつだ‼︎

声をしたほうを見れば、そこには片方だけ口角を上げたヤマネコが立っていた。

クッソー‼︎あいつか‼︎もう出てくんなよー‼︎わたしは帰りたいんだよ‼︎頼むから帰してくれ…。

「違うもん‼︎」

え?エロワンコ?なになに、わたしを信じてくれるの‼︎

「お姉さんは、ほんとに具合悪いんだもん‼︎」

そうそう。そうよ、エロワンコ。もっと言ってやりなさい‼︎

「お姉さんは、欲求不満だから、体おかしくなっちゃったんだもんね?」

そうそう…。わたしは欲求不満で、って‼︎

「ちっがーぅ‼︎」
「イッ、いったぁい‼︎お姉さん‼︎急に、ぶたないでよぉ…。ひどいなぁ…」

ひどいのは、どっちよ‼︎何で、欲求不満で体おかしくなっちゃうのよ‼︎

「へぇ〜。欲求不満、ねぇ?」

やっ…‼︎何か、ライオン碧都の目が笑ってる‼︎怖いっ…‼︎

「眞一郎くん?わたし、そんなこと一言も言ってないわよねぇ?」
「えー?でも、お姉さん…」
「言ってない‼︎わよねぇ?」

わたしが軽く圧をかけると、エロワンコは『あはは…。気のせいだったみたいー』と、頭をポリポリ掻いた。
< 8 / 235 >

この作品をシェア

pagetop