彼氏人形(ホラー)
☆☆☆

両親に嘘をついているという罪悪感を抱えたまま、あたしは学校へとむかった。


よく考えれば、いつまでも蒼太の存在を隠し通すことなんて、できるワケがない。


基本的にうちの両親は勝手に部屋に入ってくることがないから安心していたが、万が一勝手に入られたらその時点でバレてしまう。


かと言って蒼太用の部屋なんて準備できるワケでもないし、外で待たせているとなにかと不安になる。


1人で悶々と考えていると、いつの間には見慣れた学校が目の前にあった。


教室へ入ると有里のいる賑やかなグループが先に登校してきていて、雑誌を取り囲んでおしゃべりをしている。


あたしはチラッと有里を見たが、有里はあたしに関心がないように知らん顔をしている。


彼氏人形をお勧めする時だけ親密に近づいてきて、あたしたちが購入してからは以前と同じように話さなくなってしまった。


有里はあたしや実紗がどんな彼氏人形を作ったのかとか、その後どうなったのか、といったことが気にならないのだろうか?
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