彼氏人形(ホラー)
蒼太はカバンをひっくり返して携帯電話を取り出し、確認し始めた。


実紗もこんな状況だったんだろうか。


咄嗟に言い言葉も浮かばず、やめてと叫んでもやめてもらえず、葵君に腕を折られたんだろうか。


それがどれほど怖かったか、考えるだけでも身の毛がよだった。


俺様な性格に設定している葵君だ。


蒼太のように生易しいものじゃなかっただろう。


一体、どうすれば彼氏人形の力を制御できるようになるんだろうか?


そう思った時、ふと視界に蒼太の足が見えた。


蒼太は携帯電話を確認するのに夢中で、今は周囲が見えていないように見える。
あの足首のスイッチを切ってみようか?


ゴクリと生唾を飲み込む。


スイッチを切れば蒼太はもう2度と動かなくなるかもしれない。


それでも……。
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