彼氏人形(ホラー)
ここまで人間に近い人形だという事を、改めて知ったのだろう。


「葵、紹介するね。あたしの友達の有里」


「有里か。はじめまして」


「ど、どうも……」


差し出された葵君の手をおずおずと握る有里。


「すごい……本当に人間みたい」


思わずそう口走る有里。


瞬間、葵君が表情を少しだけ変えた事を、あたしは見逃さなかった。


やっぱり、蒼太よりも人間や人形という言葉に敏感みたいだ。


実紗の腕を折ってしまうくらい、葵君は自分が人形であることを気にしているのかもしれない。


< 150 / 304 >

この作品をシェア

pagetop