彼氏人形(ホラー)
2センチ。


1センチ。


有里の手が葵君のジーンズに触れた。


ゆっくりとした動作で、ジーンズの裾をめくる有里。


その瞬間、葵君が実紗から視線をそらした。


いけない!!


咄嗟に有里を止めに向かおうと足を踏み出す。


しかし、葵君の方が早かった。


一瞬にして有里の襟繰りを掴むと、そのまま片手で有里の体を持ち上げたのだ。


「有里!!」


葵君は有里の体を天井へ届くほど高く持ち上げ、有里は服が首に食い込んで苦しがっている。
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