彼氏人形(ホラー)
☆☆☆

有里が向かった先は学校の近くにある小さな公園だった。


遊具などもほとんどなく、草が背の高さくらいまで生えている。


「こんな所でなにしてたの」


草をかき分けて公園に足を踏み入れる。


頬や手や足に草が絡みつき、すぐにかゆくなってきた。


「タバコよタバコ」


「こんな場所で吸ったっておいしくないでしょ」


「あら、タバコするの?」


「しないけど、草に埋もれていたらまずくなることくらい、なんとなくわかる」


「この公園は管理者がいなくて、年に1度しか草刈りもされないの。


秋から冬にかけては草は伸び放題。だから人目につきにくいの」


有里の言う事はわかるけれど、そうまでして吸いたい心理はわからない。
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