彼氏人形（ホラー）
蒼太の機嫌
一旦学校へ戻ったあたしは担任の先生に実紗がケガの影響で高熱を出し、両親が不在のため一緒に付いて帰ったという嘘の説明をした。


最初疑うような表情を浮かべていた先生だけれど、なんとかあたしの話を信じてくれたようだ。


それから残りの授業を受けたあたしだけれど、授業内容はさっぱり頭に入ってこない。


先生の言葉は右から左へと流れ、ノートと教科書はただ広げているだけの状態。


このままじゃ勉強には付いて行けなくなるし、日常生活にも支障が出てきそうだ。


頭痛がしてきそうなほど考えて考えて、結局答えなんて見つからないまま放課後になった。


あたしは自分と実紗のカバンを持ち、教室を出る。


今日はアルバイトが入っていないから、実紗にカバンと届けて真っ直ぐ帰ろう。


蒼太はあたしの帰りが早いと機嫌がいい。


葵君も、今日そんな様子だった。


あたしの足は自然と速足になり、実紗の家へと向かったのだった。
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