彼氏人形（ホラー）
たった数行の文章の中に、疲れてしまった実紗の表情がリアルに浮かんできた。


《大丈夫？　今日有里と一緒に【ドールハウス】へ行ったけれど、お店はもうなくなっていたの。


でも、このままじゃあたしたち彼氏人形の奴隷みたいになっちゃう。明日またお店まで行って藤井さんの行先を知らないか調べてみようと思っているの。


実紗も行く？》


あたしは手早くそう打ち込んで送信ボタンを押した。


「陽子、なにしてるの？」


少しだ時間がかかってしまったため、蒼太が冷めた顔でこちらを見ている。


「友達からメール。明日小テストがあるから範囲を教えてあげたの」


あたしはそう言い、すぐに蒼太の横へとも戻った。


「そうなんだ。じゃぁ今日は陽子も勉強しなきゃね」


「うん。頑張るよ」


あたしはそう言い、ほほ笑んだのだった。
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