彼氏人形(ホラー)
☆☆☆

恭子さんに通された部屋は20畳くらいありそうな広い和室だった。


「お茶を入れてくるから、座って待っていて」


恭子さんはそう言い、部屋を出る。


その和室には中央に大きな木製のテーブルがあり、その奥にはお仏壇が見えた。


あたしはチラリと、その仏壇に飾られている写真に目をやる。


実紗も、その写真が気になっている様子だ。


写真に飾られているのは色白で綺麗な女の子。


恭子さんとよく似ているが、幼さの残る子だった。


きっと、あれが彼氏人形が原因で死んだという1年生の子だ。


「依子(ヨリコ)の事で話を聞きたいんでしょう?」


写真に見入っていると恭子さんの声が聞こえて、あたしはハッと振り向いた。


恭子さんが湯呑にお茶を用意し、持ってきてくれたところだった。
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