彼氏人形(ホラー)
その顔、体格、スタイルすべてにおいて自分好みの人形だ。


自分で選んだのだから当然の結果だが、こうしてすべてのパーツが合わさった状態を目の当たりにすると、また恐怖に似た感情が湧きあがって来た。


「今日の放課後さっそく取りに行こうよ」


この薄気味悪い人形を実紗はひどく気に入っているようで、ニコニコと笑顔を絶やさない。


「で、でも今日はお金ないから」


「銀行よってから行けばいいじゃん」


「でも、もう少しでバイト代も入るんだし……」


「給料日なんて待っていられないよ!」


実紗は眉間にシワを寄せて、頬を膨らませてそう言い返してきた。


グズグズしているあたしをどうしても急き立てて行きたいらしい。


一歩あたしの方は実紗を説得して取りやめようと思っていたのだから、こんなに早く出来上がることが想定外だ。


これから取りやめなどはできないだろうし、できたとしてもキャンセル料金が発生するかもしれない。
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