彼氏人形(ホラー)
そして、もう1度鏡を向く。


一体、あたしの右耳はどんな状態になってしまっているんだろう?


不安と恐怖で涙が出そうになる。


あたしが蒼太殴り飛ばされた場所には、口から吐き出した血とかけた歯。


それに、点々とベッドまで続く血の玉が残っていた。


蒼太がベッドまであたしを運んだ時に、耳の傷から落ちたものだろう。


「蒼太……あたしの耳は一体どうなったの……?」


震える声で、そう聞いた。


「なにを怯えているの? 大丈夫だよ、引きちぎったりしてないから」


蒼太がそう言い、おかしそうに笑う。


どうしてこんな状態で笑えるんだろう。


こんな状態でも、蒼太からすればただの冗談として終わらせられることなのだろうか。


あたしは携帯電話で時間を確認した。



窓の外は真っ暗で、時計は夜中の3時をさしていた。


どこくらいの時間気絶していたんだろう?


あたしは不安になり、ベッドに視線をやる。
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