彼氏人形(ホラー)
次の瞬間、グシャッと言う肉がつぶれる音が聞こえ、実紗の可愛い顔が消えてなくなっていた。


そのまま顔のなくなった実紗が横倒しになる。


葵君が血まみれになったレンガを、実紗の隣に放り投げた。


「うそ……でしょう……?」


あたしはただの肉がたまりとなった実紗の隣にひざま付いた。


「実紗……実紗……お願い目を開けてよ……」


震える手で、転げ落ちてしまった実紗の目を拾い上げ、元々あった場所に直そうとする。


だけど、何度頑張ってみても実紗の目は元の位置には収まらず、すぐに転げ落ちて砂だらけになってしまった。


「実紗……実紗!!」


自分の手が実紗の血で汚れ、いつの間にか葵君が公園からいなくなっていても、


あたしはずっとその場から離れなかったのだった……。
< 257 / 304 >

この作品をシェア

pagetop