彼氏人形(ホラー)
ネット上では、【彼氏人形】は再びお店に戻り、売り物になっていると書かれていた。


しかし、あれはあくまで噂話だ。


藤井さんなら、本当の話を知っている。


「そうよ。親や恋人、友達のところへね」


「……なにを言っているんですか? 恋人は購入者ですよね?」


「違うわよ? 購入者なんて【彼氏人形】からすればただの道具だもの」


そう言い、高らかに笑い始める藤井さん。


その笑い方は普通ではなく、あたしは恐怖を感じて数歩後ずさりをした。


「道具って……どういう意味……?」


あたしは運転手さんがくれたファイルをギュっと抱きしめる。


ここに書かれていること以外に、【彼氏人形】にはまだ秘密がある。


そう感じた。


「いいわ。あなただってすぐにその人形に殺されてしまうんだから、教えてあげるわ」


藤井さんはそう言い自分のスボンの裾を捲り上げ、ソックスをずらした。


え……!?


そこには蒼太についていたスイッチと、全く同じものがついていたのだ。


あたしは唖然として目を見開く。


これは一体、どういうことなの……?
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