彼氏人形（ホラー）
部屋の電気をつけるのと同じ感覚でスイッチを押す。


パチッと小さな音がして彼がゆっくりと目を開けた。


あたしは立ち上がり彼と視線を合わせた。


「陽子、こんちには」


彼の声はさざ波のようで、目を閉じていつまでも聞いていたくなるような声色だった。


「はじめまして」


あたしは緊張しながらそう言う。


すると彼はおかしそうに笑い声を立てて「何を言っているんだい陽子。俺たちずっと前から付き合っているじゃないか」と、言った。


どうやら彼の中であたしたちは、何年か付き合っているカップルとして認識されているらしい。


それからあたしと実紗は彼氏人形の取り扱いについていくつか説明を受け、店を出た。


お金は後日振込で大丈夫だそうだ。
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