一番欲しいプレゼント【短編】
一番欲しいプレゼント
 ホワイトデー。お返しをくれない人もいるのかもしれないけれど、寛は違っていたようだ。

 今朝、女の子にお返しを渡しているのを目撃した。彼女は寛にバレンタインを渡した女の子。

 だからバレンタインに彼にチョコレートを渡したあたしもそのお返しをもらえるだろう。

 本当は両思いになれるといいけれど、それは高望みだと分かっている。

 だから他の子のように、お返しを貰おうと、寛の机まで行った。
 それを貰えたら、この恋は自分で終止符を打とう。

 でも寛の口から聞こえてきた言葉は、あたしが耳を疑ってしまうものだった。

「お前にはないよ」
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