一番欲しいプレゼント【短編】
「は?」

 あたしはそのぶっきらぼうな言葉に、ぶっきらぼうに答えた。

 お返しをするまでもない気持ちってことなのだろう。

 彼にとってあたしが恋愛対象外ということも分かる。

 でも、いくらなんでもそれはありえない。

「分かったわよ。二度とあんたには義理チョコなんてあげないから」

 あたしは義理の言葉をわざと強調した。

 他の子にはお返しをするのに、あたしにはナシ。

 いくら腐れ縁でもそれは酷すぎないだろうか。

 いや、絶対に酷い。

 それもあたしがコイツにあげたのは本命のチョコレート。

 でも、お返しさえくれないなんて。

「待てよ」

 背を向けて立ち去ろうとしたあたしの手を、寛がつかんだ。

 あたしの手より温かい手にドキッとする。

「何?」

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