あの日あの時...あの場所で
最初の一歩
落ち着かない気持ちで降り立った空港。
ざわめくロビーを、スーツケースを引いて足早に歩く。
再びこの地に足を踏み入れる事になるなんて、とても皮肉ね?
自分の悲運に泣きそうになる。
もう二度と戻らないと飛び立ったその足で、この地の土を再び踏んだ。
「眩しい」
ロビーを抜けた先、自動ドアを潜り外に出た私は、自分を照らし出す眩しい朝日に目を細めた。
三年前よりも少しだけ長くなった髪が風に揺れる。
さぁ、行きましょうか?
順番待ちのタクシーに乗り込んで目的地を目指した。
「日本は観光ですか?」
運転手がバックミラー越しに声をかけてくる。
「あ、いえ、元々こちらで育ちました。里帰りみたいなモノです」
私の言葉に驚きつつもバツが悪そうに目を伏せた運転手。
ま、タクシーの運転手さんが間違うのも無理ないけどね?
だって、私の見た目は金髪の外人だもんね。
因みにアメリカ人と日本人のクォーターである。
ママがハーフです。
昔みたいに黒い目のコンタクトをしていないので、瞳だってブルーだし。
「そうでしたか、すみません」
申し訳なさそうに謝ってくれた運転手に、
「いえ。三年ぶりに日本に来ましたが景色は変わるものですね?」
運転手さんにいいえと首を左右に振ってから、窓の外から見える景色をチラリと見た。