あの日あの時...あの場所で
「クハハ...クールで物静かで有名な咲留のイメージ崩れるわ」
お腹を抱えて笑いだす源次。
咲留はそう言うイメージあるのね。
初めて知った。
私と居たら咲留はいつもこんなのだしね。
「本当ね、咲留君のイメージダウン。シスコンなんて笑える」
今まで黙ってた女が口を開いた。
クスクスとバカにしたように笑うな。
はぁ?何、この女。
ちぃ君にもたれかかってる女を無表情な顔で見つめた。
暖かかった空気が一気に氷点下に変わる。
「千景、その女に帰ってもらいや」
私に話しかけてた軽い感じを微塵も感じさせないほど冷たい空気を纏った源次が、険しい視線をちぃ君に向けていた。
ああ、これがこの人の本当だ。
「えっ?どうしてですかぁ~源次さん」
本気で驚いてる女は、媚を売るように甘い声を出す。
この人、本当に空気読めないのね?
今、源次にそんなことしたら.....。
「お前、ほんまウザい女やな?帰れ言うとんのが分からんのか?」
ほら、殺気を放たれる事になるのよ。
「...っ..ち、千景君」
自分に向けられた殺気に恐怖した女は息を詰まらせて、隣のちぃ君に助けを求める。
「帰ってもらえる?で、二度と来ないで」
笑ってない瞳で彼女を一瞥したちぃ君は、この部屋のドアを指差した。
「えっ?...ど、どうして...」
瞳を潤ませて震える声を出す女
だけど、もう誰も彼女を見ることはない。
さっきの彼女と言い、この人と言い、ほんとうに愚かしい。
「出ていけ。俺達は仲間をバカにされて許すほど甘かねぇ」
チャラ男健が低い声を出す。
「ど、どうして、私だけ...」
皆も馬鹿にしてたって言いたいらしい。
ほんとに、貴女は何も見えてないわ。
「俺らは馬鹿にしてへん。新しい咲留がみれた事が嬉しかったしな?」
意味を理解できずに固まる女に、源次が説明してやった。
そう、彼等の言葉には暖かさがあった。
バカにしたようにように笑いながらも暖かかった。
貴女の冷ややかな視線と違ってね?