あの日あの時...あの場所で
咲留達と楽しい時間を過ごした。
変態だけどイケメンの源次は、面白い人だったし。
ヘタレチャラ男の健は、皆の弄られ役で。
ちぃ君は、間違いなくタラシだった。
もちろん、私を口説くなんて馬鹿はやらかさないけど。
咲留はとにかく世話を焼いてきた。
かなり鬱陶しい程に。
だけど、この空間が嫌いじゃないと思えた。
「あ!もう夕方じゃん。腹へったぁ」
と叫ぶのは、掛け時計に視線を向けた健で。
「ほな、晩御飯でもいこか?」
と源次。
「あ、良いね。そうしよう」
とちぃ君。
「じゃ、私はそろそろ帰る」
だってさ、マンションに届いてる荷物の片付けと、明日の準備しなきゃだし。
パパがマンションの家具とかは、準備してくれてるから、すぐに住める状態だとさ。
流石にそろそろ帰って準備しなきゃね。
「はっ?飯食ってから一緒に帰ろうぜ」
と咲留。
残念だけど、帰るところは違う場所だし。
「無理。咲留とは一緒に住まないし」
「はっ?えっ?なに?どういう事だ」
パニクるな、咲留。
「いや、だから、私はマンションに住むの。だから、咲留の家には住まないし」
「えぇ~どうしてだよ。一緒に住もう」
両肩をガシッと掴まれた。
「無理、もう荷物も送ってるし」
それに、あの家には住めないよ。
「...瑠樹に嫌がらせをしてた連中は首にしたからもう居ねぇぞ?」
咲留は辛そうに顔を歪める。
私に嫌がらせをしてた人達は、咲留の家のメイド達だった。
ママが亡くなって咲留の家に引き取られた私に、咲留やパパにバレないように嫌がらせをしてた人達。
愛人の子が図々しいと何度も罵られた。
わざとぶつかられたり、物を隠されたり、ママを亡くしたばかりの私には辛いモノで。
突然現れた咲留達家族にも馴染めなかった小学生の私は、一人で耐え続けた。
様子の可笑しくなる私に気付いた咲留によって、全ては暴かれ、私を苛めていた人達は、パパによって解雇された。