あの日あの時...あの場所で
「おぉ~ようやく来たやん」
昨日聞いたばかりの声が響いた。
「遅かったな?瑠樹」
ああ、ちぃ君の声も聞こえる。
「待ってよ、咲留」
あ、チャラ男も居る。
だけど、咲留は足を止めない。
いや、早足になったかも。
抱っこはこれのせいだと理解する。
人垣が割れて、声の本人達が現れる。
なにしに来たんだ?
「王凜に来るんやったら教えてや。」
ニヤリと笑って歩いてくる源次。
「本当だよ、千景が豪(ゴウ)に聞かなかったら知らなかったし。」
な、千景と健。
「そうそう、豪が教えてくれたからこれたけどなぁ」
瑠樹~と手を振ってくるちぃ君。
どうやら、人垣を作ってたのはこのメンバーらしい。
直ぐに追い付いてきた三人。
「わざわざ来るなよ」
咲留はあからさまに不機嫌になる。
「瑠樹が心配で来たに決まってるし。こんな野獣の住みかに通うんだから牽制しとかなきゃな」
よしよしと私の頭を撫でたちぃ君。
「んなの、俺一人で十分だろうがよ」
咲留の言葉に、
「良いじゃん、な?」
源次と肩を組んだ健。
「そうそう、豪には連絡して。俺らにないとかあかんわ」
さっきから豪って誰よ、源次。
この人達が暇人だってのは分かるけどね?
ざわざわとするギャラリーの皆さん。
初日から目立ちすぎでしょ?
「うわっ、あの子なに?」
「外人?」
「転校生かな?」
「二階堂さんや西新庄さん達の何だろう?」
「抱っこされてるし」
ほんとさ、晒し者だよ。
「咲留、下ろして」
ジタバタと暴れてみる。
「ちぇっ、仕方ないな」
おお、今日は大人しく下ろして貰えるらしい。
ホッとした。
だけど、この4人に囲まれてる事で目立ってるんだけどね。
この際、そこは我慢する。
帰れと言っても帰ってくれそうにないしね。