あの日あの時...あの場所で








咲留達に囲まれて昇降口に入る。


あ?上靴忘れた。


「ほら、これ」

咲留が差し出してくれたのは来客用のスリッパ。


「うん、ありがとう」

それに足を通して、職員室を目指す。


パパに言われてたから。

学校についたら先ずは職員室だってね。


パタパタと音かする。

もちろん、私を入れて5人分。


やっぱりここでも注目の的な訳で。


男の子からは尊敬の念の籠った視線。

女の子からはピンクの視線。

色んな意味で、騒がしい。



「中までついてこないでよ」

と言ったら、

「無理、教室まで行くし」

と断言する咲留。



「そうそう、豪に頼むまで一人になんてしねぇし」

とちぃ君。


「だから、さっきから豪って誰よ?」


「豪は俺の弟」


「はっ?ちぃ君、弟居たの?」

これは驚き。


「おう、瑠樹と同い年だ。しかも同じクラス」

と教えてくれたけど、


「どうしてクラスが一緒って知ってるの?」


「咲留が親父に頼んだみたい」

 
「はぁ?ちぃ君のパパに?」


「そっ、うちの親父、ここの理事長だから」

凄いことをサラッと言ったよ。


も、なんか色々驚き過ぎて疲れた。



「学校に居る間は豪が側に居てくれるから安心だからな?」

笑顔で言われてもさ、手回しし過ぎだからね、咲留。


「安心もなにも危ない事なんてないでしょ?」 
学校の中でさ。


「ある。瑠樹は可愛いから男達が危険だ。その点、豪は女嫌いの硬派だから安心だし、絶対に瑠樹を守ってくれる」

そんな力説されても。


「って言うか、女嫌いなら迷惑じゃない?豪って人の」


「大丈夫だ、快く引き受けてくれた」

そう言う問題じゃないし。


「豪は千景と違って女にだらしなないから安心やで?」

だから、そうじゃないんだって、源次。



「かなりの男前でモテなのに、勿体ないよね?」

なにが?健。


「定期的に吐き出してるみたいだけどなぁ。ほら、あいつも男だし溜まるから。」

そんな情報いらなのよ、ちぃ君。



ダメだこの4人。


小さく溜め息を付いた。










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