あの日あの時...あの場所で
豪のおかけで何とかチャイムが鳴る前に書き写せた。
ホッとしながら、次の授業の準備をする。
「ありがとうね、豪。助かった」
こちらを見てた豪に感謝の気持ちを伝える。
「いや、構わねぇ。っうか、体調悪いのか?このところぼんやりし過ぎじゃねぇか?」
心配そうに顔を覗き込んでくる豪。
豪は告白してれた後も、何もなかったかのように過ごしてくれる。
元々、優しくて私を甘やかす人だから、これと言って変化がないだけなのかも知れないけど。
私的にはとても助かってる。
変に意識されると、隣に居ずらいし。
「...ううん。休みボケが抜けないのかも」
左右に首を振ってクスッと笑う。
豪に変な心配や気遣いをかけたくないから、私は笑顔を作る。
「そうか?だったら良いけど。無理だけはすんなよ?」
そう言って大きな手で私の頭を撫でた。
豪の大きな手はやっぱり温かいね。
「うん、と言いたい所だけど。選考テストまでちょっと無理する」
私の行きたい大学は少し難しいから。
どうしても、そこに行って帝王学と経営学を学びたいから。
咲留がパパの後を継いだ時に私は右腕として手助けしたいんだ。
今まで咲留に沢山助けられた分、なにかを返したい。
そう考えた時に、その大学のカリキュラムを知ったんだ。
私の求める物はそこにある。
それを習得して、即戦力だと周りに認めさせてやる。
愛人の子だと、散々バカにされたけど。
そんな奴等を見返してやりたいんだ。
二階堂兄妹は最強だと知らしめてやる。
その為にはあの大学に合格したい。
この思いは咲留もパパもまだ知らない。