あの日あの時...あの場所で
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溜まり場で寝てたはずのキングが一本の電話を受けるなり飛び出していった。
その場に居た俺達は当然の驚いて追い掛けたけど、キングは一足早く運転手が待機していた車に乗り込んで出発しちまった。
あんな焦った顔であんなに慌てたキングなんて見たことも無かった。
「あ~行っちゃったよ」
遠ざかっていくキングを乗せた車を見つめながら額に手を当てて大きな溜め息をつく。
「キング、どうしたんだよ?」
同じ様にキングを追いかけてきてた礼二が俺を見る。
「それが分かったら苦労しねぇし」
俺は眉を寄せた。
「おいおい、おいかけっこかよ」
と少し遅れてやって来たのは唯。
「そんなものやってない」
それにも俺は淡々と返した。
キングを追いかけて走ってきた俺達を追い掛けてきた連中が溜まり場の前にわらわらと終結していて。
いつの間にか大人数になってた。
「キング、血相変えてたけど大丈夫かよ?」
礼二が心配そうに言う。
「確かにな」
あんなキングは見たことねぇ。
マジでヤバイかもな。
「駄目元で電話してみたら」
と唯が軽く言うから、
「出ないと思うけどな」
とポケットからスマホを取り出してキングの番号にかけてみた。
プルルル~...意外にも3コールで相手に繋がる。
『...なんだ?』
かなり低い声がした。
出ないと思っていた俺は返事を返すのに少し遅れた。
『...用がねぇなら切る』
聞こえたキングの声に慌てて反応した。
「あ~ぁ、待って待って。切らないで」
必死に懇願する俺を礼二を初めとする連中が何事かと見てくるが、今はそんなの気にしちゃいらんねぇ。
『手短に話せ』
キングの神妙な声からしてあまり良い状況じゃない気がした。
「急に飛び出したけど、何があったの?俺達に手伝える事なら言って」
明瞭会計に告げる。
『具合が悪くて家に居るはずの瑠樹が居なくなった。今から心当たりを探してくる』
瑠樹ちゃんが?どうしてそんな事になってんだよ。
キングの声からして、ヤバい状況なのは間違いない
「分かった。その情報は確かなの?」
そこ、肝心だからね。
一応聞いておく。
『ああ。咲留さんから』
「ああ、なるほど。それは間違いないね。うちの連中にも聞き込みさせる」
キングは、最近瑠樹ちゃんの側に居る事を許してもらう為にお兄さんの咲留さんに何度も頭を下げに行ってたからね。
咲留さんとは連絡先を交換してるし、そこから来た情報なら確かだ。