あの日あの時...あの場所で
こうして、私には三人の女の子友達が出来た。
豪はまだ少し納得してないみたいだけど、少しずつ分かってくれたらいいかな?と思う。
桃子達と電話番号とメアドを交換して、下駄箱で別れた。
豪は不機嫌なまま私を抱っこして歩いてるもんだから、擦れ違う生徒達は皆ビビってて。
「豪、機嫌直してよ。ほんと、大丈夫だからさ。」
「...別に機嫌悪くねぇし」
いやいや、そっぽ向いてる時点で機嫌悪いでしょ?
「豪、機嫌直してくれたら、明日おべんとう作ってくるよ」
咲留ならこんな感じで機嫌を直してくれるんだよね、豪にも効くかな?
「本当だな?」
おっ?釣れた。
「うん、大したオカズはないけど、それでいいなら」
「良い。」
豪の機嫌は直ったみたい。
背負ってた黒いオーラが無くなったしね。
「ククク...たった一日で瑠樹さんは豪の心を掴んでしまいましたね」
楽しげに口角を上げる夏樹。
「豪って、咲留みたいなんだもん」
と言ったら、
「...チッ」
と豪に舌打ちされた。
何故だ?
「ハハハ...お兄ちゃんと同じ立ち位置んやな?豪、苦労するわ」
どうして、爆笑し点のよ、大翔。
「うぜぇ」
そう言いながら少し前を歩く大翔を足蹴りした豪。
「痛いやん、なにすんねん」
かなり痛かったのか涙目になってしゃがみこんだ大翔は、おき捨てていく。
「待ってやぁ~」
叫んでるけど、無視で良い気がする。
「豪、また機嫌悪くなった?」
仏頂面の横顔に問いかける。
「そうでもねぇ」
「そう?」
「ああ、気にすんな」
頭を撫でてくれる豪の手は優しい。
「お~い瑠樹ぃ~」
恥ずかしいから叫ぶな!
校門の外でこっちを見て手を振る咲留に溜め息が漏れる。
「...まったく、無駄に目立つでしょうよ」
ポロっと漏れた言葉は豪が拾ってくれる。
「今日だけ我慢しろ。明日からは俺が送り迎えするって言ってやるから」
「うん。咲留を納得させてよね」
毎日、あんなのやだし。
「任せとけ」
クイッと口角を上げた豪。
私も援護射撃はするからね、と誓う。