あの日あの時...あの場所で
「えぇ...大学なんてサボれるし」
「サボったら絶交ね?」
何がサボるだ、ふざけんな。
勉強しなさいよね。
「絶交は無理、そんなのしたらお兄ちゃん干からびて死んじゃうぞ」
死ぬか!と突っ込みたかった。
「豪に任せれば?こいつ強いし大丈夫」
ちぃ君はあからさまに落ち込む咲留の肩に手を置いた。
「...千景まで...」
それでも不服そうな咲留。
「瑠樹に楽しい学校生活をさせてやりたかったんだろ?いつまでも兄貴がついてちゃ、楽しめねぇし。同じ年の連中と遊ぶのをじゃまするなよ」
あぁ、ちぃ君、素晴らしい演説です。
「咲留さん、この命に代えても瑠樹は守ります。だから俺らに任してください」
豪の真剣な言葉に咲留は、ふぅと小さく息を吐いた。
「...分かった。豪達にませるわ。瑠樹は豪になついてるみたいだしな?」
仕方ないって顔で苦笑いした。
「咲留さん、豪も俺も大翔も全力で守ります」
夏樹、そんなに力込めるほど全力じゃなくてもいいような?
「頼もしいナイトがついてるやん。瑠樹も学校目一杯楽しみや」
源次がニカッと笑う。
「うん、楽しむ」
素直な気持ちで答えた。
女の子の友達も出来たし、きっとここでの生活は楽しくなる予感がする。
「あぁ、子供は巣立っていくんだな」
咲留、しみじみ言ってる所わるいんだけど、私は咲留の妹だからね?
遠い目をしてる咲留。
「感傷に浸ってる咲留は置いて帰ろ」
ちぃ君が歩き出す。
「私も帰る。豪、夏樹、大翔、また明日ね?」
三人に手を振って背を向けた。
「おう、明日な?」
豪は軽く手を上げる。
「気を付けて帰ってください」
小さく手を振る夏樹
「また明日な?」
ブンブンと腕を大きく振ってバイバイしてくれる大翔。
大翔と源次って、キャラ被ってるよなぁ。
なんて思いながら、ちぃ君の隣を歩いて家路についた。
「あ、ちょっと待ちいや」
「こら、千景、瑠樹をラチるな」
源次と咲留は叫びながら追いかけてくる。
「ちぃ君、スーパーに寄りたい」
「了解」
私とちぃ君は追いかけてくる二人を無視したまま足を進めたのだった。