あの日あの時...あの場所で
悲しい再会
王凛学園に通学して5日目、今日も平和に一日を終えた。
豪達とは相変わらず一緒にいる。
桃子達とも、時おりいる。
嫉妬の視線や、興味本意の視線は相変わらず変わらず向けられてる。
ま、無視してればこれと言って問題はない。
私なりに充実した学生生活を送ってる。
「瑠樹、じゃあ明日ね」
梅が綺麗に微笑んだ。
「...チッ」
ん、もう、豪はまだ納得してないの?
「うん、梅、明日ね?」
不機嫌な豪を無視して梅達に手を振った。
「あ~明日が待ちどうしぃ」
叫んで悶える楓は、
「楓、煩いから」
と桃子に頭を叩かれてる。
フフフ...私も楽しみ。
「行くぞ」
少し乱暴に私の手を掴んだ豪は、教室のドアに向かってズンズンと歩いていく。
「あ、豪、待ってや」
小走りに追いかけてくるのは大翔。
夏樹は涼しげな顔をして、その後ろをゆっくりと歩いてくる。
「バイバイ、瑠樹」
遠慮がちに聞こえた桃子の声に、振り返って手を振った。
彼女が嬉しそうに手を振り返してくれたのを確認して正面に向き直った。
授業が終わったばかりの廊下は、生徒達で溢れ返っているのに、不機嫌な豪が現れた途端に怯えた顔で割れるように道を開けていく生徒達。
それを当然のように、歩く豪はやっぱりここの王様だ。
だけど、本当は豪の手は温かくて優しいんだって知ってるよ。
今だって、私の手を包み込む豪の手は優しい。
「豪、明日楽しみだね」
隣の豪を見上げる。
190センチを超える豪を見上げるのは、150センチの私はちょっと大変。
「.....」
ん、もう!無言で見下ろすな。
そんなに桃子達を誘ったのが嫌だったの?
明日の休みに豪と水着を買いにいく約束をしていた。
もちろん、豪達と海に行く為にね?
それで、最近、南と西の境に出来た大型複合スーパーに行こうと言う話になって、そこへ桃子達が来て、水着選びなら女の子の方が良いかも?って事になって、誘ったの。
そしたら、桃子達は私と出掛ける事を凄く喜んでくれて、私も嬉しくなった。
豪はそれが気に入らないみたいで...それから不機嫌になった。
本当、難しい。