愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
「千尋、うちらにちゃんと話してくれないかな?」
ただ知ってるのは華奈だけ。
さゆりと、奈美にも本当の事を言うべきなんだろうか。
ちゃんと?何をはなすって?
同情してくれるとも?
私は、そんな事望んでいない。
誰も、助けてくれなかったじゃない。
何も解決してないじゃない。
そんな慰めかた、私をからかっているんでしょ?
「未練たらたらだなお前。もう良いんじゃないか、自分に正直になって。」
その声に気付いた私は振り返った。
あなたは…田中君。