愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
第四章 ―秋雨―
不安な気持ち
―中3秋―
10月、私達は受験に追われていた。
「千尋…」
うつ向きがちに私に声を掛けたのはさゆりだった。
「またなんかあった?」
「うん…奈美と図書館行ったら…偶然見つけて、二人で勉強してる姿が堪えきれなくてその場をすぐ離れたの…。」
やっぱり…まだ…。
本当は気づいていた。
さゆりが圭太の事が好きだなんて。
そりゃあ、すぐには無理だよね…。
私も、振られたのに、まだ好きだから。