愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
懐かしいあの日を思い出した。
去年、クラスの合唱で圭太が指揮者だったことを。
でもそれは私だけじゃない。
隣で歌っている理子ちゃんも。
今、理子ちゃんは圭太の目の前。
そんな理子ちゃんは嫌な素振りを見せ、顔をうつ向けた。
「理子、圭太を見なさい。」
担当の先生が理子ちゃんを注意した。
あの時、同じ花を見て美しいと言った2人の心と心は、今はもう…通わない。
私達は一通り歌を歌い終えた。