愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
クラスが隣だったその人。
名前も知らない。
「あ、ゆうれいだー」
放課後帰り道を自転車でこいでいたところ、後ろから声がした。
…二列並進はダメなのに。
「その言い方やめてくれる?」
「もっといってやろー」
「………」
「冗談だってば!!花田、」
冗談が分からない。
「家近いの?」
「10分で着く。」
「うっわ、ずりー。俺30分くらい。」
話についていけない。
こんな会話になんて返せばいいんだろう。
「じゃあねー」
横断歩道を渡り、彼は去っていった。