愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】

「ねぇ千尋、さっきのみた?」

「え?さっきの?」

背後からものすごい勢いでやって来たさゆりはイライラしていた。

「夏川!ほんっとムカつく!」

さっきの…って、さゆりも見ていたんだ。

「なんでいちいちわざとらしい動きをするのかな。見てて腹立つ!」

「そうだよ!そんなに嫌ならどうして真ん中で歌うの?場所なんて自由なのに!」

「千尋…うちがついてる。大丈夫だから。」

怖いものしか見えないのは私だけかな。逃げてばかりだからなのかな。
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