愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
それからまた何日か後。
「おはよう」
自転車置き場を背にして歩いていた私の背後からその人が来た。
「お、おはよう。」
「髪切った?」
「うん」
話す事はこのくらいの程度で。
でも、最近思う事がある。
¨また話したい¨
そんな気持ちが胸の中にあったのか、廊下をすれ違っては教室を覗き、その人を探しては話に交ざった。
話に入れなくてもいい。
ただ、側で声が聞きたかった。
ただ、近くにいたかった。
「加藤君、」
その人の名前は加藤圭太。
もし、来年同じクラスだったら…―――――。
そう感じた冬―――――。