愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】


「男が弾いてちゃダメ?」


「ううん、とても綺麗な音だったから…」


その人はまたピアノを弾き始めた。

何度も何度も聴けば聴くほど癒される。


優しい風とメロディーがただただ音楽室の中を響かせた。


今、音の世界にいる。

音は耳を通り心に響く。

目を閉じれば心地よい。

体中がぞわぞわする。

重かった辛い心も忘れて気づけばその場でピアノの音を聴き続けていた。
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