愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
¨夕日君のピアノが好き¨
そう毎日思った。
柴田夕日、私と同じB組でついこないだ席替えで隣になった人。
夕日君は文化発表会でB組の伴奏者になった。
私は夕日君のピアノが好きになった。
「凄いね、私はピアノなんてメロディぐらいしか弾けないよ。」
「覚えたからね。」
放課後の音楽室は私のとっておきの時間だった。
夕日君がピアノを弾き、私は歌う。
「今日は、何弾いてもらおうかな。」
「それじゃ、これ分かる?」
そしてそっと手を乗せ、ゆっくりと指を動かした。