愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
分からない…ずっとこの気持ちが分からない。
本当は辛かった。もう嫌だった。
でも寂しい気持ちがあった。
圭太と過ごした日々が薄れていく。
もう隣に圭太は居ない。
もう戻れない。
本当は気づいていた。
どこかで分かっていた。
圭太が居なくて寂しい時、側で笑ってくれた。
圭太じゃないのに、どうして平気なんだろう。
平気?隣に圭太は居ないはずなのに…。
全部大好きだった。
今でも胸の奧が苦しくなる。
安心する。
側にいると温かくて、優しい声で―――
―――ズキン…
また胸が苦しいよ…。
もう、知っている。
自分の気持ちに気づいているんだ。