愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】

「じゃあねー」


「うん、またね。」


加藤君だ…。
でも今のは私にじゃない。


「花田さん、今花田さんにも言ったのよ?」


理子ちゃんだ。

「でも…」

「圭太に言ってきたら?間に合うよ。」

「……ありがとう…!」


どうしよう…でも…言いたい…。
私は急いで加藤君を追いかけた。

「か…加藤君…っ!」

「ん?」

振り向く加藤君。

「ま、またね…。」

どうしよう。たったの言葉なのに…。

「じゃあな!あと、いい加減圭太でいいよ。」


私には初めてのことばかりで…。

「うん…!」


嬉しくて嬉しくて…、足も自然と早くなっていく。

こんな嬉しい気持ち、どうしたらいいんだろう…。
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