愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
〈もう今は無いんだけどね、今までこんなに楽しくて自然と笑えるようなことがなかったの。〉
そして、さゆりの過去を聞いた。
残酷すぎるいじめ。
文字の1つ1つを読むたびに泣いてしまった。
――私も、同じだったからだ。
小学校よりは酷くなかった。
中学になってもいじめは続き、仲の良い人はあまりいなかった。
そんなときに圭太が話しかけてくれた。
それから¨また話したい¨と思うようになった。
〈いつしか¨好きだと勘違い¨していた。〉
私はその言葉に気づいた。
圭太を好きになってから分かった。
全部、圭太の温もりであって、過去と関係していた。
でもね、さゆり?
〈さゆりが好きだと思えたのは勘違いなんかじゃないんだよ。〉
うまく言えないけど、私なりの前へ向く言葉なの。