愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】

〈もう今は無いんだけどね、今までこんなに楽しくて自然と笑えるようなことがなかったの。〉


そして、さゆりの過去を聞いた。

残酷すぎるいじめ。

文字の1つ1つを読むたびに泣いてしまった。

――私も、同じだったからだ。



小学校よりは酷くなかった。

中学になってもいじめは続き、仲の良い人はあまりいなかった。

そんなときに圭太が話しかけてくれた。

それから¨また話したい¨と思うようになった。


〈いつしか¨好きだと勘違い¨していた。〉

私はその言葉に気づいた。

圭太を好きになってから分かった。

全部、圭太の温もりであって、過去と関係していた。


でもね、さゆり?

〈さゆりが好きだと思えたのは勘違いなんかじゃないんだよ。〉


うまく言えないけど、私なりの前へ向く言葉なの。
< 232 / 326 >

この作品をシェア

pagetop