愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】

「おは。」

「おはよ…田中君。」

冬休みが終わり、今日から学校が始まった。

教室で私の隣の席には夕日君が、夕日君の前の席には田中君が座っていた。

田中君は違う席だけど夕日君がいるから。

私は隣にいる夕日君に話しかけるのが怖い。

年が明け久々に見た夕日君。

「おは…よ…」

勇気を振り絞って言ってみた。


少し間があったけど、夕日君が頷いた。

よかった…何も…ない。



――――なにも…ない?

あれ…なんか気持ち悪い。

新学期早々夕日君の久々の顔が見られたのに…放課後まで会話してない。

受験が近いから?
もう私と話さないってあれは冗談だよね?
静かな授業が余計に息苦しかった。

―――どうしたらいいの?
これじゃあまるで…――――

< 264 / 326 >

この作品をシェア

pagetop