愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
「おは。」
「おはよ…田中君。」
冬休みが終わり、今日から学校が始まった。
教室で私の隣の席には夕日君が、夕日君の前の席には田中君が座っていた。
田中君は違う席だけど夕日君がいるから。
私は隣にいる夕日君に話しかけるのが怖い。
年が明け久々に見た夕日君。
「おは…よ…」
勇気を振り絞って言ってみた。
少し間があったけど、夕日君が頷いた。
よかった…何も…ない。
――――なにも…ない?
あれ…なんか気持ち悪い。
新学期早々夕日君の久々の顔が見られたのに…放課後まで会話してない。
受験が近いから?
もう私と話さないってあれは冗談だよね?
静かな授業が余計に息苦しかった。
―――どうしたらいいの?
これじゃあまるで…――――