愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
午後19時、天ノ川神社で待ち合わせ。
私は圭太がくるまで晴天の夜空を見上げていた。
「あ、いた。」
それはいつもの声。
真っ先に圭太だって分かった。
…でも、いつもと違う姿。
初めて圭太の私服を見た時だった。
グレーのVネックに赤いラインが入っているカーディガン。今日は肌寒い日だから薄い長袖を着ていた。
私は白いワンピース。
ショートボブの髪を耳にかけた。
ちょっとシンプルし過ぎたかな?
――今日は市の花火大会。
毎年その日は家でテレビを見て、家族で縁側に座り打ち上がった花火を見ていた。
でも、今年は、圭太と行く。
一番人気はフィナーレのナイヤガラの滝の花火。