愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】
「あ、このキーホルダー可愛いね!」
理子ちゃんの鞄にふと目についた、クマのキーホルダーだった。
「…あ、うん。圭太からもらったの」
理子ちゃんが持っているほどんどの小物などは全て圭太からもらった物。
「花田さんも頂戴って言えば?」
ねえ、理子ちゃん。簡単に手に入るなんて物はないんだよ。簡単に言えないんだよ?
夏川理子。見た目は大人しかった。
けど、私には猫かぶりにしか見えなかった。
何故なら彼女からの暴力でさえも受けたことがあるからだ。
私には理子ちゃんに反発できない。
そうしたら彼も、圭太も傷つくから。
―――嫌われてしまうから。
圭太に嫌われるのが一番怖くてただ黙っていることしか出来なかった。