ヒミツの王子さま!
「今まで俺の気持ち、気付かないフリしてたでしょ。だから今日こそちゃんと向き合ってよ」
「……」
どこか余裕を感じるその声に、どんどん手が汗ばんでいくのがわかる。
日向はどう応える?
真剣だ。
葉月は、マジで日向に惚れてんだ。
俺の知らないふたりの関係があって、知らない時間もあって。
当たり前の事なのに、
どうしよもなく、喉の奥のあたりが痛い。
そして、また沈黙。
もうすっかり校庭には誰もいなくなった。
さっきまでのオレンジが嘘みたいに、ビルの向こう側にかすかに残っているだけになっていた。
「……そう、かもしれない。避けてたのかも……ごめんなさい」
「うん」
静かに言葉にする日向の声も、なんだか震えていて。
でも、葉月の気持ちに真剣に応えていた。
「……だけど……ごめんなさい……あたし、好きなヒト、いて……」
そこまで言って、喉を詰まらせた日向。
泣いてんのか?
ドクン
まただ。
喉の奥。 鎖骨の下あたりがギュッと軋む。
「知ってるよ」
「え?」
「だけど……」