ヒミツの王子さま!
その瞬間に、俺を包み込む本独自の印刷物の匂い。
外よりも冷えている気がする。
「離せよ!」
躊躇なくふたりの間に割り込むと、強引に日向を引き寄せた。
葉月はそれを阻むわけでもなくて、ただ俺の顔を見下ろして薄く微笑んでいる。
「……」
ムカつく。
……んだ、コイツ。
「ナオ……いつからいたの?」
キッと目の前に男を睨んでいた俺の制服の裾を、クイッと引っ張った日向に視線だけを向けると、その顔は少し青い顔をしていた。
その時、また本棚に身を預ける気配がして。
驚くくらい冷静で、楽しそうな声がした。
「日向、君の親友は怖いね。 力が強いし。 体は小さくても、さすが男だ」