ヒミツの王子さま!
俺の高校生活、終わったんだ……。
目の前が真っ暗になる……。
校長が言ってた。
『みんなにバレたら退学』なんてセリフがいきなり頭の中を駆け巡る。
どうしよう……。
どうする?
俺……。
別に退学くらいどってことない。
これ以上女の恰好でいさせられるくらいなら、いっそのこと退学にでもなった方が好都合だ。
……そうだ。
絶対そうなのに……。
手にはジワリと嫌な汗。
カラカラの喉。
引きつりそうな頬。
俺、焦ってんの?
止まっていた時間をスタートさせたのは、他の誰でもない葉月だった。
「大丈夫?」
不意に俺の顔を覗き込んできた葉月。
それと同時に甘ったるい香水の香りが俺を包んだ。
それだけでむせ返りそうだ。
ジロリと視線を上げる。
「うん。女の子だ」
「は?」
嫌味ったらしくそう言って、にっこりと天使のような微笑みを零した葉月は、屈めていた体を起こしながら言った。