ヒミツの王子さま!
少しだけ起こしていた上体をもとに戻す。
ほんと、このまま俺この高校卒業すんのかな……。
もう11月も終わるもんな……。
「大丈夫だよ」
「?」
なにが?
と、言いかけてまた壱也に目をやる。
相変わらず気持ちよさそうに閉ざされたその瞳。
長い睫が、前髪にかかってる。
「なにがあっても、俺はお前の味方だからさ」
…………。
……は?
「……な、なに言ってんだよ! ばっかじゃねぇの?」
「わはは」
……恥ずかしいヤツ。
ちくしょー。
ちょっと、嬉しかったじゃん。
たぶん、コイツは俺が何を考えてたかわかってる。
不安な事とか、全部知ってんだ。
飄々として、それでも欲しい時にいてくれる。
そして、欲しい言葉をくれる。
壱也が、モテる理由、悔しいけどちょっとだけわかった気がした。
俺もまた、壱也に並んで横になる。
大きく息を吸い込んで、また目を閉じた。
風が葉を揺する音
流れる雲の影。
注がれる太陽の日差し
鳥のさえずり
生徒の笑い声
あー……眠い。
“落ちる”
そう思う瞬間があった。